常磐線の遅れが、最近の小田急を混乱に陥れているらしい

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直通運転の弊害、それが顕著に表れる路線

4月になり、新たな生活がスタートした方も多いと思いますが、皆様いかがでしょうか。

さて、今回はそんな新たな生活で多分数多にお世話になる電車の「遅延」にまつわるお話です。

突然ですが、直通運転と言えばどのようなイメージを持ちますでしょうか?

乗り換えを少なくすることで、楽に目的地に向かうことができるという面を持つ代わりに、直通先の路線が遅れると自社の路線まで巻き込まれるということが、直通における問題として表れています。

近年でも、JR東日本などの広大なネットワークを持つ路線を中心に、この遅延の拡大を阻止するべく普通列車の系統分離を行う路線が増えてきました。

さて、そんな直通運転ですが、2024年に入ってとある直通運転で、かなり大きな問題が発生しています。というのも、その直通とは全くの無関係なはずの列車が直通先の遅れに巻き込まれ、その結果途中駅で打ち切るという事態が発生しています。

どういうことなのか、詳しく解説していきます。

どうしてこの路線の遅れがこんなところにまで!?

その当該となっている路線は、JR常磐緩行線と小田急江ノ島線です。

運行形態を知らない方からすると「?」が浮かび上がってくると思いますし、知っている方でも普段使いしない場合はやっぱり疑問が浮かぶでしょう。

そもそも、常磐線と小田急線は、間に山手線を隔てているため、首都圏の路線網を知らない方からすれば無関係な路線のようにも感じます。大体、語感もまったくもって違いますからね…

ただ、常磐線と小田急線は、間に地下鉄千代田線(緑色の地下鉄線)を挟むことで相互に直通運転を行っており、長い列車だと茨城県の取手駅から延々と走行して神奈川県は伊勢原駅までを結ぶという、直通の代名詞みたいな電車もあります。ちなみに総延長100.2km、所要時間は2時間19分だそうで。

さて、ここまでお話ししてきて「小田急と直通してることはわかったけど江の島方面に行ってないじゃん」という言葉が聞こえます。実際その通りで、小田急江ノ島線は土休日の行楽特急「メトロえのしま」を除き、すべての列車が新宿駅または相模大野・町田駅を始発終着とする列車のみで運行されています。

千代田線直通系統とはほぼ縁もゆかりもない路線なのです。

が、最近はどうも事情が異なります。それについて、次項で詳しく解説しましょう。

どうして常磐線の遅延で江ノ島線の列車が運休になるんですか

この直通運転の影響は、直通を行わない路線にまで及んでいます。もちろんいい意味ではなく、悪い意味で。

最近、JR常磐緩行線で発生した遅延が原因で、小田急江ノ島線を走る快速急行が急遽運休になり、現場を混乱させるというトラブルが頻発しています。

嘘だと思うでしょ?本当なんだなこれが

小田急江ノ島線ではおおよそ20分に1本、快速急行という優等列車が運行されています。快速急行は江ノ島線から直通で新宿まで行けるため、かなり人気の列車で、平日の日中、ロマンスカーが走らない江ノ島線においては最も速い種別(ってかロマンスカーより速いやつもいる)なのです。

で、そんな江ノ島線ですが、最近この「快速急行の運転打ち切り」がかなり頻発しているように感じるのです。

遅延が発生すれば、事あるごとに快速急行を途中の駅で急遽打ち切り、各駅停車に乗り換えを強いる事態が1週間に1回くらいの頻度で発生しているのです。

快速急行は江ノ島線から新宿までの需要だけでなく、江ノ島線内の都市間移動にも重宝されている列車で、ひとたび運休になれば、割を食う各駅停車に混雑が集中します。

話を戻して、この快速急行の運休自体は以前からよくあったのですが、その運休の原因としては、小田急線内の荷物挟まりや接触事故など、直通先の列車の影響はあまり受けておらず、小田急線内での遅延が原因のものが多かったのです

流れが変わったのが2022年のダイヤ改正、この頃から急に、東京メトロや常磐緩行線の軽微なトラブルが原因で、直通とは無縁の江ノ島線の列車運休が発生するという謎の事態になっています。

実際にSNSで「小田急江ノ島線 運休」と検索をかけると、運行情報を発信するアカウントで常磐緩行線に起因する遅延や列車運休が発生していることがわかります。

ではなぜ、常磐線で発生したトラブルが、直通とは無縁の江ノ島線にまで及ぶ事態になってしまったのでしょうか

常磐緩行線の遅延が小田急江ノ島線に及ぶ理由

ではなぜ、常磐緩行線の遅れが小田急江ノ島線に波及するようになったのか、それについてお話していきましょう

簡単にまとめると、複々線の使い方が問題というか原因です。

構想50年、着工30年という大事業を経て2018年に小田急の今後を見据えて完成した代々木上原〜登戸間の複々線事業。この完成に合わせた白紙改正では、多摩線方面へ直通していた千代田線からの列車を途中向ヶ丘遊園まで区間短縮を行い、同時に種別を急行から準急へと格下げを実施し、急行線から緩行線に運行経路を移行しました。

しかし、2022年の改正より、突如行き先の変更はないものの、種別を準急から急行に変更し、走行線路も再び急行線に戻りました。

これだけ聞けば「速くなって便利!」と思う方も多いですが、実はもともとこのダイヤを使って小田原行きの急行を走らせていたものを、その急行の廃止の代替で設定したに過ぎないので、乗り換えなしになったとは言え向ヶ丘遊園までの時短効果はあまりなく、むしろ準急停車駅の狛江、祖師ヶ谷大蔵、千歳船橋の各駅を利用する人たちや、向ヶ丘遊園から先に向かいたい人たちにとっては単純な減便となるため、たまったものではありませんよね。

ただ、問題はここからで、先程種別変更に合わせて「走行する線路を緩行線から急行線に戻した」ということをお話したと思いますが、これがこの運休につながるトラブルの原因なのです。

2018年改正で、千代田線からの直通列車を緩行線に移行した理由はあまり大きく言われていなかったのですが、国土交通省から発表されているデータ等を踏まえればわかる部分がいくつもあります。

実は千代田線は昔から「遅れやすい」路線なんです。

千代田線ユーザーの方の記事によると、原因は常磐線側の北千住駅にあるそうです。葛飾区最大のターミナル駅である北千住駅は、千代田線の他に常磐快速線や東武線、日比谷線、つくばエクスプレスが集まる路線で、それぞれの路線から都心へ向かう旅客が集中するため、かつては入場規制がかかるほど混み合っていたそうです。

この駅で乗降に手間取り、停車時間が長くなってしまい、結果後続列車も含めて遅延が頻発していたのです。

それ故、2018年と2019年には、遅延証明書が発行された日数をデータにした国交省からのデータで、東西線や京王線を抜いて、2年連続不名誉な第1位を記録してました。

仮にこの遅れている列車を急行線に入れてしまうと、本来新宿から定刻通り走っている急行列車やロマンスカーなどを遅らせてしまうことにもつながることから、急行線に干渉しないような経路、要するに走行する線路が緩行線経由に変更されました。

が、2022年のダイヤ改正で急に「急行線経由」に変更されました。

つまりこれが何を意味するのかというと、千代田線からの遅れが向ヶ丘遊園より先、小田原や藤沢方面へ向かう速達列車、箱根までのロマンスカーなどにも影響を及ぼす可能性が再び発生したのです。

ダメ押しにこの列車は、先程もお話した通り本来運行されていた新宿発小田原行きの急行の運行区間を町田発小田原行きに変更した穴埋めとして設定されたものです。

このもともと急行小田原行きだった列車ですが、下りの場合はその急行が相模大野で江ノ島線方面への快速急行の接続、もとい待ち合わせしていたため、必然的に千代田線からの急行も江ノ島線方面への急行の直前を走ることになります。

要するに、わかりやすくまとめるとこのようになります

  1. 千代田線からの遅れをもって代々木上原に列車が到着
  2. 小田急線へそのまま直通し、列車が遅れた状態で代々木上原を発車、そのまま急行線へ入線
  3. 後から追いかける江ノ島線の快速急行の進路を塞いでいるため、その遅延が後続の列車に波及
  4. 江ノ島線の快速急行遅延の影響で、折り返し後の列車に影響が出る可能性を考え、途中の駅で運転を打ち切る

当然ながら、急行より快速急行のほうが停車駅が少ないこともあり、その遅延はどんどん大きくなってしまいます。

結果的に、千代田線の遅れを引きずった状態で小田急にやってきた直通列車によって、江ノ島線へ向かう快速急行は頭を抑えられて遅延が拡大してしまい、その後の運用などのために仕方なく江ノ島線に向かう列車で運休になってしまうのです。

というわけで、今回の議題である「常磐緩行線での遅延が原因で、無関係なはずの小田急江ノ島線が割を食らってる」という理由についてはわかったと思います。

常磐緩行線で発生した軽微な遅延が、そのまま千代田線を通じて小田急へ流れ込んだ結果、あとを走る江ノ島線方面の列車の頭を押さえるためその列車も遅延。回復不可能の判断を下して途中駅で運転を打ち切り、江ノ島線方面へ向かう旅客が割を喰らう羽目になっているのです。

と、ここまでがタイトル回収なのですが、皆さんの考えることはよくわかりますよ。

「なんで遅れやすい直通列車と遅れにくい長距離自社線内列車をわざわざ分離したのに同じ線路に戻したのか」と。

それについて、次項でお話します

千代田線列車を急行線に流す理由は

遅れやすい千代田線からの直通列車、遅延の割と少ない新宿発の優等列車。これらをなぜ同じ線路で走らせ、直通とは無縁な路線が割を喰らうようなことになったのでしょうか。

ここからは、私の予想が中心になります。

建前上の理由としては「新宿発の急行を減便するから、その代替で急行に変えた」というものです。ですがそもそも、それなら準急のままで運転時間を変更すれば所要時間は増えるけど停車駅はあまり変わらないからそれでいいじゃん、と反論できます。

ただ、この列車運用の変更は、小田急側の判断ではなく、JRとメトロの両者からの要請が原因なのではないかと予想します。

そう考える理由が、以下のプレスリリースです

https://www.jreast.co.jp/press/2021/20211207_ho03.pdf

2021年12月に発表されたプレスリリースで、2025年以降をめどに、JR東日本は常磐緩行線をワンマン運転にして、乗務員確保につなげるという発表をしています。

が、常磐緩行線を走っている車両は最初から車掌乗務が前提の設計だったため、それらに対応する工事をする必要があります。

ただワンマンになるとは言っても、安全を担保するためにはかなり大規模な改造工事を実施する必要があります。

その期間中予備となる車両を捻出しなければならないのですが、2019年時点では運用は以下のようになっていました

2019年3月情報実本数運用数予備車の数
E233系2000番代(K運用)19本18本1本
16000系(S運用)37本34本3本
4000形(E運用)15本13本2本
※4066Fは2019年10月より乗り入れ運用に対応

JR車はまさかの予備車1本という、ワンマン化改造で長期離脱するには心許ない本数です。実際に、2019年に定期検査で東京総合車両センターにE233系が1本入場して、その期間中16000系が代走する措置を取っていました。

その16000系の運用も3本で、予備車確保の観点からでも、ワンマン化改造と予備の少ないJR車の代走を兼任すると予備車が足りなくなることは明白です。

そこで2021年のダイヤ改正より、需要の少ない列車を減便したり、終電繰り上げを実施したりと、運用数削減で予備車捻出に翻弄しました

ただ、それでも検査期間中の予備が足りないときた。さぁどうなるという話なわけです。

そこで、小田急線内で準急として走っていた列車を急行に変更し、代々木上原〜向ヶ丘遊園間の所要時間を短縮して予備車捻出を行う、という計画だったのではないかと踏んでいます。

その際、ホームがあり、先行列車が遅い各駅停車がメインの緩行線だと、所要時間の短縮ができないと判断したのでしょう。優等列車メインで高速運転が可能な急行線経由に変更。これにより予備車を十分に確保することが可能になり、改造工事中も代走に頼る必要もなくなったものと思います。

実際、直通列車の代々木上原~向ヶ丘遊園間の所要時間は日中で片道5分の短縮、往復だと10分の短縮に成功していますので、車両のやりくりにも少しばかり余裕ができました

そのため、2024年現在の運用はこのようになっています

2024年3月情報実本数運用数予備車の数
E233系2000番代(K運用)19本16本3本
16000系(S運用)37本33本4本
4000形(E運用)16本13本3本

というわけで、ワンマン化に対応する予備車は無事に確保できました

しかし、当然ながら先述の通り、長距離需要の高い新宿発の優等列車までも、千代田線、さらには常磐線で発生した遅延の影響を受けてしまうようになったのです。

そう、すべての原因は常磐緩行線です。

東日本旅客鉄道、てめぇは俺を怒らせた…

あとがき

ここまでご覧いただきありがとうございます。実は江ノ島線ユーザーの中の人です。

最近、あまりにも「快速急行運休」が多すぎて、ストレスが爆発しそうだったので、記事にして落とし込みました。

ただ、こうした事象で困っている人たちは大勢いることと思います。特に江ノ島線は藤沢駅が小田急線内で第4位の乗降客数を誇り、そのほか快速急行停車駅も上位20位以内に入選している駅が多数あります。

急な運転変更は利用客の方はもちろん、現場で働く駅員さん達にまで影響を及ぼします。

また、快速急行が1本運休になったとしても、本来10両分の輸送量のある旅客が、たった6両の各駅停車に流れ込むため、各駅停車の混雑悪化を助長させる一因にもなっています。その実情をわかっていただきたいところですね。

改めて、サムネ作成に当たってご協力くださった鹤川さん、羽沢さん。画像提供をしていただいた摩耗型フリーナさん。ありがとうございました。この場をお借りして御礼申し上げます。

というわけで、最後は個人的な愚痴を吐き出しましたが、ここまでご覧いただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

神奈川県在住の鉄オタ
しょーもないようなことに気をかけながら生きています

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